トロイ
2004年
アメリカ
ギリシア神話のトロイア戦争を題材にした歴史スペクタル映画。
トロイア戦争はギリシア軍と、小アジア(現在のトルコ地方)のトロイ軍との10年続いた戦争。
神話では神々の王ゼウスが増えすぎた人間を減らす為に仕掛けた戦争とされ、神々もギリシア側とトロイ側にに分かれて争った代理戦争ともされる。
かかと以外は不死身という英雄アキレウス(アキレス)の活躍や、智将オデュッセウスが策を講じたトロイの木馬の逸話が有名だ。
ただし映画では神々は一切登場せず、あくまで人間たちの戦争ドラマとして描かれる。
近代にトロイの遺跡が発掘されたことから、トロイア戦争は神話だけでなく歴史的にも実際あった戦争と伝わっている。
あらすじ
トロイの第2王子であるパリスは、ギリシアの都市国家スパルタの王メネラオスの妃であるヘレンに横恋慕し国に連れ去ってしまう。
激怒したメネラオス王は、兄でありギリシアの盟主であるミュケナイ王のアガメムノンを頼った。
こうしてアガメムノンを総大将とする、全ギリシア軍は海を越えトロイ王国に攻め込む。
初戦は英雄アキレスらの活躍もあり、ギリシア軍が勝利した。
だが堅固は防壁を誇るトロイの城塞を越えることはできず、やがてギリシア軍は攻めあぐねる・・・
英雄アキレス/ブラッド・ピット
第2王子パリス/オーランド・ブルーム
巫女ブリセイス/ローズ・バーン
智将オデュッセウス/ショーン・ビーン
ミュケナイ王アガメムノン/ブライアン・コックス
スパルタ王メネラオス/ブレンダン・グリーソン
ストーリー ★★★
映像 ★★★★
キャスト ★★★
ギリシア神話度 ★★
ネタバレ!
細かいところは相違があるものの、お話は概ね神話に沿って進みます。
英雄アキレスと総大将のアガメムノンが、捕虜にした巫女ブリセイスを巡って仲違いし、アキレスが戦うことを放棄する。
膠着状態に陥った両軍が、事の発端であるスパルタ王メネラオスとトロイの第2王子パリスとの一騎討ちで決着をつけようと合意する。
しかしパリスが負けそうになると、トロイ側は約束を違え両軍は決裂し再び戦端が開かれる。
アキレスが戦わないことに苛立つパトロクロスが、アキレスの兜を被って代わりに戦場に出るも、トロイ軍の総大将である王子ヘクトルに敗れ命を落とす。
パトロクロスが殺されたことに怒り復讐に燃えるアキレスは、ヘクトルに一騎討ちを申し出る。
ヘクトルは一騎討ちに敗れ命を落とし、アキレスは遺体を戦車で引きずり回した。
その後ヘクトルの父でトロイ王プリアモスが、深夜にギリシア陣営を訪れ遺体の返還を願う。
最後はギリシア軍の智将オデュッセウスが、“トロイの木馬”の策を張り巡らせる。
こうしてトロイは陥落し滅亡する。
神々は一切登場せず、人間ドラマだけでトロイア戦争をまとめているのはナカナカ良くできていると思います。
ギリシア神話映画としてでなく、歴史戦争映画として観ると充分に楽しめるでしょう。
ここからは神話のお話です。
英雄アキレウス(アキレス)とは
人間の王ペレウスと、海の女神テティスとの間に生まれた半神。
アキレウスが赤子のときに、母テティスが冥界の川に浸して不死を得たとされます。
ただしこの時テティスは赤子の足首を掴んで川に浸したので、その箇所だけ川に浸ることなく不死身にはなりませんでした。
それが踵で、アキレウスの唯一の弱点でした。
アキレス腱の語源となっています。
トロイア戦争で戦況を変えるほどの大活躍をしますが、パリスの射た矢が踵に当たり絶命しました。
ちなみにパトロクロスは従弟ではなく、親友です。
トロイア戦争の発端について
劇中ではトロイの第2王子であるパリスが、スパルタの王妃ヘレンを連れ去ったことから戦争が起こっています。
これには理由があり、神話では“パリスの審判”という逸話があります。
もとはアキレウスの父ペレウスと、母テティスの結婚式でのこと。
神々の中で式に招待されたかった災いの神エリスが、式場に「最も美しい女神へ」と林檎を投げ入れました。
この林檎を巡って、自分が一番美しいと自負する3人の女神が言い争います。
ゼウスの妻で女王ヘラ、知恵の女神アテナ、美の女神アフロディーテの3人です。
3人とも美しいことで知られる女神なのですが、この中で誰が一番美しいのかはゼウスの裁定によりトロイにいたパリスに委ねられました。
そこで女神らはパリスに対して、それぞれ自分を選べば見返りを与えると言いました。
女王ヘラは王の座を、知の女神アテナは戦争での勝利を、そして美の女神アフロディーテは最も美しい女性を与えると申し出ます。
結果、パリスはアフロディーテを選びました。
この最も美しい女性こそがヘレネ(ヘレン)だったのです。
こうしてヘレネとパリスは結ばれ、トロイア戦争が起こりました。
冒頭でトロイア戦争は神々の代理戦争とも申しましたとおり、神々もギリシア陣営とトロイ陣営に分かれて味方します。
美の女神アフロディーテはもちろんパリスがいるトロイ側に。
アフロディーテの愛人だった戦神アレスもトロイ側に付き、戦場に降り立って戦っています。
アポロン神殿を祭るトロイには、光明神アポロンとその妹である狩猟神アルテミスも味方しました。
アポロンは医と病を司る神でもあるので、ギリシア軍に疫病をまき散らしています。
アキレウスを射殺したパリスの矢も、弓矢の使い手であるアポロンの加護があったからこそでしょう。
一方でギリシア側には、アキレウスの母である海の女神テティスを始め、海神ポセイドンも加勢します。
テティスに拾われ育てられた鍛冶神ヘパイストスも、ギリシア側に付き武具を提供しています。
パリスの審判で選ばれなかった、女王ヘラや知の女神アテナもギリシア側に加勢しました。
智将オデュッセウスとは
小国イタケ島の王で、知略に優れた王として名を馳せていました。
10年続いたトロイア戦争の最後、オデュッセウスは起死回生の策を巡らします。
それは神々に捧げる巨大な木馬を建造し、それを残してギリシア軍は撤退したように見せるものでした。
トロイ軍は戦争に勝利した戦利品として、この巨大な木馬を城へ持ち帰ります。
もちろん怪しむ者もいましたが、戦勝に歓喜するトロイ軍は聞く耳を持ちません。
事もあろうにこの大きすぎる木馬は城門を通れず、門の一部を壊してまで城内に入れました。
そして夜も更け皆が寝静まったころ、オデュッセウスらギリシア兵たちが木馬の中から出てきます。
こうして城門は内から破られ、隠れていたギリシア軍勢が城内になだれ込みトロイは陥落し滅亡しました。
なお戦後、オデュッセウスは故郷に帰国するまで、さまざまな不運に見舞われ10年を要します。
このオデュッセウスの苦難の旅は、ギリシア2大叙事詩のもう1つ「オデュッセイア」で語られています。
そのほか劇中ではアガメムノン王もメネラオス王も殺されてますが、神話ではそんなことはなく生きています。
メネラオスにいたっては、浮気した妻を許し国へ連れ帰りました。
その後は夫婦円満に過ごしたというから、劇中でのイメージからは想像できませんね。
一方でトロイの第2王子パリスは劇中で生き延びていますが、神話では死亡しています。
ちなみにトロイ滅亡を逃げ延びた人々は、のちにイタリア半島へ渡ってローマ建国の祖先となったとされます。
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