オールド・ボーイ
2003年
韓国
15年間監禁された男が、その理由の究明と復讐を果たそうとするお話。
男はある日突然拉致され、その理由も分からないまま監禁される。
そして15年の歳月が過ぎたある日、突然解放された。
原作は日本の同名漫画。
カンヌ国際映画祭で、韓国映画としては初めてグランプリ(審査員大賞)を受賞した。
国内外で高い評価を得て、2000年代の韓国を代表する映画のひとつとして挙げられる。
ハリウッドでもリメイクされた。
衝撃の結末が有名。
(最後にネタバレあり)
あらすじ
1988年、オ・デスは妻子ある29歳のサラリーマン。
この日4歳になる娘の誕生日プレゼントを買ったものの、ひどく酒に酔っていた。
公衆電話から家に電話していたデスは、そのあと突然姿を消した。
気づいたらデスは部屋に閉じ込められていた。
部屋にはテレビやベッドやバスルームはあるものの、窓は無い。
食事は毎日扉の下から差し出される餃子定食だった。
デスは自分がなぜこんな所に閉じ込められているのか理由が分からない。
テレビのニュースで妻が殺害されたことを知り、自分が殺人の容疑者となっていた。
デスは有り余る時間で過去の人生を振り返り、日記を綴ってみる。
そして来る日も来る日も餃子を食べ続け、自分を閉じ込めた犯人にいつか復讐を誓って体を鍛えたりした。
やがて15年の月日が流れたその日、デスは目が覚めるとビルの屋上にいた・・・
ネタバレ!
デスはある日突然、訳もわからず解放されたのだ。
住んでいた家はすでになくなっており、彼は街をさまよった。
そのうちに一軒の和食料理店に立ち寄り、そこで働く若い女性寿司職人のミドと出会う。
2人が会話するうちに、ミドはデスに親しみを覚える。
そのあと突然気を失ったデスを、ミドは自分の家に連れ帰り介抱する。
デスの日記を盗み読みしたミドは、自分もまた孤独に生きてきた人生だったことでデスに共感する。
こうして2人は協力して、デスを15年間監禁した犯人を捜すことになる。
デスは自分が監禁されていた部屋を探す為に、あらゆる店の餃子を食べ歩く。
15年食べ続けた餃子の味を忘れるはずはなく、目当ての店を見つけ出した。
そして店が出前をしている後を追い、自分が監禁されていたビルに辿り着く。
そこは依頼によって対象者を閉じ込める、監禁ビジネスを生業としたギャングの巣窟だった。
デスは立ち並ぶ屈強な男たちを1人で叩きのめし、自分を閉じ込めた真犯人の手がかりを得る。
やがて行きついた先は、イ・ウジンという男だった。
デスはついに復讐の機会を得る。
しかしその男ウジンは、冷静に不敵な笑みを浮かべて言った。
「いま自分を殺せば、“なぜ"を知ることはできない」と。
こうしてデスはウジンを殺さずに、ミドと2人で監禁された理由を調べ続けることになる。
そしていつしか惹かれ合うデスとミドは、男と女の関係となった。
やがてデスは、母校の高校へと辿り着いた。
そこはウジンも卒業した学校だったことが分かる。
そしてウジンの姉がデスの同級生だったこと。
その姉は卒業を前に自殺したことが判明する。
デスは高校時代の記憶を懸命に辿る。
するとウジンとその姉が、男女の仲だったことを偶然目撃していたことを思い出す。
デスは2人が姉弟だったとは知らなかったが、彼が話した事でやがて学校全体に噂が広まった。
その結果、ウジンの姉は自殺したことを知る。
デスが監禁された理由は、ウジンの復讐だったのだ。
すべてを悟ったと思ったデスは、ウジンと決着をつけるべく彼のもとへ向かった。
しかしウジンはなお冷静に振る舞い、デスに1冊のアルバムを見せた。
デスがアルバムのページをめくると、そこには15年前に生き別れた娘の写真が写っていた。
ページをめくる度に、娘が成長してゆく姿が映し出された。
アルバムが終わりに近づくにつれ、やがて娘の姿はミドになった。
デスは絶望した。
そして復讐を終えたウジンは自死を遂げる。
最後はデスが催眠術で自分の記憶を消そうとして映画は終わる。
お話としてはよく出来てるんだけど、やや荒っぽさが残るのは韓国映画ならではか。
また催眠術というのがチョット現実的ではない設定ではある。
でもそれを補って余りある、圧倒的なパワーと衝撃的な作品。
まさに韓国映画を代表する傑作のひとつです。
デスが監禁ビジネス社で悪漢たちと戦うシーンは、廊下を横からの視点で長廻しに撮影されている。
このシーンは格闘アクションとして、世界的に有名なシーンとなっています。
もともとは撮影期間短縮の為に、やむなく行った苦肉の策だったらしい。
しかし結果的に高い評価を受け、後年ジョン・ウィックやデッドプールなど、あらゆる映画で同様のロングテイクスクロール格闘シーンが登場するようになった。
余談ですがオ・デスという名前は、ギリシア神話のオイディプスからとられているそうです。
▼英雄オイディプスのお話
「産まれた子に殺される」という神託(預言)を受けたテバイ(テーベ)の王は、産まれた赤子を山中に捨て去る。
赤子は隣国コリントスの王に拾われ、オイディプスと名付けられ王子として育てられた。
成長したオイディプスは「父を殺し母と交わる」という神託を受け、それを恐れて祖国コリントスを離れた。
旅の道中オイディプスは、ある富貴な老人といさかいを起こし相手を殺してしまう。
オイディプスは知らなかったが、それはテバイの王(実の父)だった。
王を失ったテバイ国は、怪物スピンクス(スフィンクス)に悩まされていた。
そこでスピンクスを退治した者を、未亡人の妃を妻として新たな王にする布告を出す。
その時ちょうどテバイに立ち寄ったオイディプスが、スピンクスを退治して王となる。
そしてオイディプスは、そうとは知らず未亡人の妃(実の母)を妻として子をもうけた。
後年、真実を知ったオイディプスは自らの目を突いて王座を降り放浪の旅に出ている。
オ・デスが自らの舌を切ったのも、オイディプスが目を突いたのと同じ贖罪の意味だったのだろう。
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